DICKIES RIDE ON

CUSTOM WORKS ZON

新シリーズ、ディッキーズ Ride On の第一弾を飾るのはCUSTOM WORKS ZON代表の吉澤雄一氏です。どんな困難にも負けず自分の道を貫くディッキーズ魂を持つ彼の歩む人生の、常に「新しい」を模索する日々に着目します。また、職人さんの一面だけでなく、友人と家族と共に第一線を走り続ける、ファミリーマンとしての一面もお見せします。
吉澤さんは、日本のみならず、世界的にも知られるカスタムバイクビルダーです。2007年にアメリカのRat’s Holeカスタムバイクショーで優勝し以後、国内外で数々の賞を受賞。横浜で開催されている国内最大のCar & Motorcycle Show「HOT ROD CUSTOM SHOW」では、2012年、2018年と2022年に王冠を飾り、今では海外のバイクショーで審査員を務めています。輝かしい経歴を持つ吉澤さんはカスタムバイク業界のドンとも言えるでしょう。そんな彼は、ドンさながら高身長で、重い作業靴を履き、職人ならではの貫禄を備えています。多くの困難や功績を納めてきたからこそある貫禄。ですが、その厳しい一面の裏には、家族思いのファミリーマンがいました。

滋賀県蒲生郡の日野町にあるCUSTOM WORKS ZONは、静かな住宅街の一角にあります。広大な畑が近くにあり、お隣にはお寺がありますが、お店にはアメリカのバイク屋さながらの雰囲気があり、内装もバイク好きにはたまらないヴィンテージアメリカン風になっています。店内は見渡す限りカスタムバイクやパーツが置いてあり、訪れた人を迎え入れてくれます。

のどかな雰囲気の日野町で異国色を放つCUSTOM WORKS ZONですが、実はここ吉澤雄一氏が育った場所。お店から見える山、空、畑は全て吉澤さんの慣れ親しんだ景色です。近くには吉澤さんのお父さんが住んでいるんだそう。

ファミリービジネス

2003年に創業したCUSTOM WORKS ZONは、高校の同級生だった植田さんと妻の千亜希さん、そして吉澤さんの三人で経営しています。高校卒業後、それぞれの道を進んだ吉澤さんと植田さんは、その4、5年後に独立し、CUSTOM WORKS ZONを一緒に立ち上げました。バイク作りは、植田さんと吉澤さんが担当して、妻の千亜希さんは広告作りやウェブサイトの管理などを担う、縁の下の力持ちです。

6年のお付き合いを経て結婚した吉澤夫妻。結婚してすぐに独立した吉澤さんは、千亜希さんのご両親に結婚を反対されないか不安があったそうですが、「思う存分頑張れ」と励まされ、今でも大きなサポートを頂いているそうです。
二人のお子さんがいる吉澤夫妻ですが、吉澤さんは自分が遠出しても何も変わらぬ日常を保ち、安心して帰れる家庭を守ってくれている千亜希さんにいつも感謝していると話してくれました。

真の「オーダーメイド」

真の「オーダーメイド」。
数多くあるカスタムバイク屋さんの中でも、輝きを放つCUSTOM WORKS ZONは、真の「オーダーメイド」を大事にしています。お客様のイメージをそのままバイクに生かせるよう、一つ一つのバイクに心と時間をかけています。お客様と納得いくまで話し合い、お互いのことを存分に理解してから「その人の分身を作る」。カスタムという言葉を裏切らない姿勢を吉澤さんは信条としています。カスタムするバイクそのものの魅力を残し、さらに吉澤さんとお客様の思いを反映したカスタムバイクを制作しています。

そんな彼の真髄を全て詰め込んだバイクが Triumph Rocket 3R。宇宙まで走れそうな風格を持つこのバイクは、2500ccのトリプルエンジン搭載で165馬力。フルメタルの怪物。
常に新しいを追及する吉澤さんは、今回のトライアンフのカスタムはまるで「ファクトリーから出たようなバイクを作れるように」という挑戦で、バイクの元の骨格はいじらずにフレームだけ総メタルで仕上げた作品です。ご本人曰く、「自分の色を落とし込んだ」バイクだと話されておりました。

「好き」をやり続ける。

「若い頃は手探りで好きなことを仕事にする方法を探していた」と語る吉澤さん。ガムシャラに生きていた二十歳の頃の自分に何かアドバイスがないかを伺いました。「20歳の頃って何がしたいかも分からず、ただ呆然と生きてただけかなって思うねんけど、この歳になって思うのは、物事は全て無駄じゃなく、ずっと意味のあることをやったなと」。
どんな回り道や試練があっても好きなことをやり続ける。友人と奥さんと三人で切り盛りするCUSTOM WORKS ZONは、それぞれの「好き」をやり続ける三人の居場所でした。「もう50前になって、1日1日のスピードがどんどん速くなっていっている中で、これからもこの楽しさをずっと継続していけるような今がある、って70の時も80になっても思いたいです」。

滋賀県蒲生郡の日野町にあるCUSTOM WORKS ZON。そこには古さと新しさ、温故知新の挑戦を続ける本物のディッキーズ魂を持つ心優しい人がいました。