DICKIES RIDE ON Wedge Motorcycle

「止まっているのを見てかっこいいし、乗っている姿もやっぱりかっこいい。それが一番かっこいいなと思います」と答えるWedge Motorcycle代表の二平隆司氏は、実用的かつ美術品と言っても過言でないカスタムバイクを作っています。彼の革新的なデザインと卓越したパフォーマンスを組み合わせたユニークなカスタムバイクは、国内外のカスタムバイクショーで多くの賞賛を受けており、次世代のカスタムバイク業界を牽引する存在として注目されています。

ビジョンを現実にする

東京都の多摩市に佇むWedge Motorcycleは、2009年にオープンして以来、パーツの制作からペイントまで、一つ一つ心を込めて作っています。バイク作りの工程をほぼ全てこなすWedge Motorcycleのバイクは、そのシンプルで美しすぎる流線のフォルムと、二平氏自身が施すペインティングが見どころです。「自分が考えたものを形にするのに必要なのって、作りたい形を作れる技術というか。そのために努力していろんな技術を身につけます」。ビジョンを現実にする努力を惜しまない彼は、地道に何かを継続する大切さを私たちに身をもって教えてくれています。そんな彼のカスタムバイク作りは、お客様がお店に足を踏み入れた瞬間から始まります。「お客さんのファッションやスタイルから、ある程度バイクの好みも汲み取れる部分があると思うので、そういうところから始めていきます」。

日本ならではの芸術

「ハーレーとかの存在感に負けないようなかっこよさっていうのを追求したい」。そう語る二平氏が作るバイクは、国産車を主に扱っており、ミニマリズムを追及したデザインは日本の侘び寂びを思わせる、引き算の芸術です。数多く作成してきたバイクの中でも特に際立つのはホンダのGL400。ブルーグレーのタンクと、バーガンディーのシートが上品な高級感を織りなす反面、丸出しのエンジンがバイクならではの無骨さを絶妙に表現しています。元々バイクとして人気ではないこのバイクは、2017年にHOT ROD CUSTOM SHOWで賞を受賞し、日本のカスタムバイク業界を震撼させました。国産車の素晴らしさを改めて実感させてくれるこのバイクはWedge Motorcycleの看板となっています。「ふとした時にこういうバイクでこういうスタイルを作ったらかっこよくなるんじゃないかなっていうイメージが湧いたら、それをやっぱり形にしたい。それは昔から、子どもの頃から全く変わってないです」。

支えてくれる人が
いるこその「今」

小さい頃から、レゴブロックやプラモデルを作るのが元々好きだった二平氏は、自身の仕事をその延長線上だと話していました。16歳の頃から友達と一緒にバイクをカスタムしていた二平氏は、自動車整備の専門学校を卒業して後、車の整備士として6年修行し、さらに板金塗装工場で3年半を経て独立。専門学校で共に学んだ友人の峰尾辰徳氏と再会し、今はWedge Motorcycleでのビジネスパートナーです。二人でアイディアを出し合い、黙々と作業する姿は20年前と変わりません。多くの仲間や家族、ビルダーの先輩方に支えられてきたと話す二平氏。仲間と作業し、ひたすらに自分の「好き」をやり続ける彼らは、唯一無二のコミュニティーになっています。「本当に自分一人だけじゃなく、今までに数え切れないぐらい友達に手伝ってもらって。それがあるから今もショップを続けられています」。応援してくれる人がいるからこそ今の成功があると話してくれました。
東京都多摩市のWedge Motorcycle。そこには少年の好奇心を忘れない、仲間思いの人がいました。今日も彼のショップにはお客様と二平氏、そして、彼の仲間達が織りなすモノづくりが人知れず、誰かに幸せを運んでいます。