DICKIES RIDE ON

HEIWA MOTORCYCLE

「誰の真似でもない、自分らしさを出せば絶対にそれは間違いない。」そう語るのは、広島県廿日市市のカスタムバイクショップ「HEIWA MOTORCYCLE」代表の木村健吾氏。
第二次世界大戦末期に原爆が投下された広島市の西隣に位置する廿日市市で生まれ育ち、幼い頃からバイクに触れてきたからこそ、彼のショップには様々な想いが込められています。「平和の象徴である広島から発信する」という、平和への願い。そして自分らしさの追及を諦めない心。木村氏が作るバイクのファンは後を立たず、欧州を始めとした世界中の人々を圧倒的に魅了し続けています。

好きこそものの「天職」なれ

小さい頃からモトクロスなどに触れ、「大きくなったら絶対バイクに乗ろう」と決めていた木村氏。大学時代に本格的にバイクに乗り始め、22歳の卒業時に「これを天職にし、一生携わっていきたい」との思いを抱き、バイク業界に入りました。そこから真摯に、夢中でバイクと向き合い続けること28年。大学卒業当時から変わらないバイクへの情熱で走り続けている木村氏ですが、その実績は今や業界のレジェンドと称されるほど。2016年と17年には横浜ホットロードショーにて『BEST OF SHOW MOTORCYCLE』を脅威の2年連続受賞。賞に輝いたバイクの一つであるマスターピースはお客さんまでもがお店にボランティアで手伝いに来てくれて制作したという。

「半年くらい前から見えないところまで全部磨いて、とにかくみんなで賞を取ろう、と一致団結して作ったバイクなんです。」と木村氏。自分の見栄を張るためではなく、バイクを愛するみんなの気持ちが形となって勝ち取った賞。「最高傑作」という意味でもあるマスターピースという名前は、実は”ピース”と「平和」のPeaceをかけてつけられた名前なのだと言います。バイクに注がれる木村氏の変わらぬ情熱とその姿には、この仕事が彼にとっての天職であることを物語っています。

平和の象徴、広島

打ちっぱなしのコンクリートを存分に使用した、モダンでインダストリアルな外装と内装。二階の大きな窓からは広島湾の青い海の景色が広がります。オープンから今年で18周年を迎え、3年前にリニューアルした店内には木村氏の高い技術性とシンプルさの中に光るスタイリッシュなデザインでカスタムされたバイクや、レアなオールドバイクが並びます。

カスタムバイクのボディーにはハトをモチーフにデザインされたロゴがあり、そこにも彼の「平和」への想いが伺えます。広島県出身であるからこそ込められた願い。そのバイクの一つ一つが世界中から高い評価を受けており、自分独自のスタイルを開拓し、追及し続ける木村健吾氏はカスタムバイク界の希望とも言える存在となっています。

「独自性」を生み出す

ショーのためにお客さんたちが尽力したという逸話も印象的ですが、HEIWA MOTORCYCLEではほかにも木村氏が大切にし続けていることがあります。それは “独自性”です。お店で働くスタッフには一貫して独自性の大切さを伝え、関係性を築きつつ、独立できるよう応援してきた木村氏。前出のハトのロゴデザインを手がけたLOU Peace Designの鈴木ろう氏も、木村氏の元で4、5年働いていました。その遺伝子を受け継ぐ鈴木氏のことは、今では「自分の思いを伝えれば、それを形にしてくれるパートナー」と嬉しそうに語ります。

HEIWA MOTORCYCLEには自分らしさを追求し、独自性を活かした作品を発表しあってお互いに刺激し合う環境があります。そこから誕生する唯一無二のバイク。羽ばたいていく人たち。それらは木村氏のスピリットを受け継ぎ、自分らしさという光を今日も放ち続けています。