ノスタルジックな朝食空間へタイムスリップ

東京、祐天寺の暗がりに、古い100円ショップを思わせる一見何の変哲もないお店が佇む。朝日が少しずつ優しい光を放つ時間になるとシャッターが軋む音を立てて開き、淹れたての珈琲の香りと共にノスタルジックな空間が現れる。朝食文化がそれほど強くない日本だが、ここALLEY CATSでは居心地の良い空間で幸せな朝のひとときを過ごすことができる。

ALLEY CATSのオーナー、園田哲也氏は10年以上中目黒のゴールデンブラウンでハンバーガーを作り続け、数年前にここ祐天寺に自身のお店を構えた。元々は100円ショップだったこの場所で、今も残る古く錆びれた100円ショップの看板が目を惹く。しかし一歩店内に足を踏み入れると、中はダイナーを彷彿とさせるカウンターが広がり、なんだかタイムスリップしているような不思議な感覚になる。

「早く起きて、朝ごはんを食べる。朝に外食するって気分が上がったんですよ、僕的に。そのうち、自分でお店をやりたいなって気持ちが徐々に芽生えてきたんです。」と園田氏は言う。ALLEY CATSは朝8時にオープンし午後3時にクローズする、朝の朝食やブランチがメインのお店だ。

「バーガー１つにしても、焼き方だったり、パンの火入れ、肉に対する味も、作る人によって個性がでる。シンプルだからこそ。」自身の好みのスタイルでもあるシンプルさに拘り、それぞれの個性を生かしつつも完成度の高いハンバーガーなどの朝食メニューを展開する。

「いろんな年齢層とジャンルの人が集まるお店ですね。地元の年配の人も来てくれますし、うちを目掛けてきてくれる若い人もいます。」園田氏がオープン当初思っていた、色んな人が集まる場所にしたい、という思いが実現したALLEY CATSは年齢や性別関係なく、各々が朝の癒しのひとときを求めて人が集まってくる場所だ。

個性、情熱、友情のブレンド

ALLEY CATSには、園田氏の他に個性豊かな10名のスタッフが在籍している。

「基本、何かうちだけじゃなくて自分でやってる子だったり、単純に僕がこの子面白いなって思った子しか入れてなくて。自分でyoutubeやってたり、写真やってる子、ビーズのブランドをやってる子。絵描いてる子もいるし、スケーターもいるし。何か一つ自分でこれだってやってる子を入れてますね。」と語る。ALLEY CATSでの仕事だけにはとどまらず、それぞれが好きなことにパッションを持ち、毎日を豊かに楽しく過ごしているスタッフたちが集まっている。

「僕はオーナー、オーナーしたくない。僕もスタッフの一人としてなんでも話しますし、相談にも乗りますし、友達みたいな感覚で付き合って欲しいなっていう。それでコミュニケーションが結構取れてると思いますね。」とが語るように、カジュアルでフレンドリーなコミュニケーションを通じてチームを築きあげている。園田氏にとってスタッフは従業員ではなく、大切な友達の１人なのだ。

スタッフたちの個性、仕事や好きなことへの情熱、そしてスタッフ間の友情が混ざり合う。そんなチームが生み出す空気感はそのまま店内にいるお客さんへも伝わり、ALLEY CATSの居心地の良い空間を作り出している。常連であっても初めての来店でも、いつでも笑顔で迎え入れてくれるお店だ。

カウンターが織りなす人間模様

「カウンターとキッチンが直接顔合わせられて、コミュニケーション取れるってすごくいいなと思って。お客さん同士も紹介して、気づいたら２人が仲良くなってくみたいな。その絵が素敵だったんですよ。」

ALLEY CATSの店内には、いくつかのテーブル席と奥まで長く伸びたカウンター席がある。キッチンに立つ園田氏はカウンターに座るお客さんと話したり、時にはカウンターに座るお客さん同士コミュニケーションが生まれる場になっている。基本的にキッチンに立つのは園田氏であるため、調理に入ればカウンターのお客さんとのコミュニケーションが難しい場面もあるが、その場にいるお客さんを一人にするのではなくお客さん同士を繋げていく。

「僕の知り合いがカウンターでご飯を食べていて、その流れで常連さんが来て、カウンターでご飯を食べてそこが繋がって。また別で友達がきて、そこも繋がって。その３人でどこか出かけて行った時は、凄くやって良かったなって思いました。」とALLEY CATSでの印象的なひとときを語る。

ALLEY CATSに訪れるまでお互い存在も知らなかった者同士がカウンターでお互いを認識し合い、会話をして繋がり、新しい思い出をALLEY CATSで作る。ただ食事を楽しむ場所ではなく、人と人との輪が広がる温かなお店、ALLEY CATSへ是非足を運んで欲しい。